健康一口メモ11月号『甲状腺の異常について』を掲載いたしました

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甲状腺は首の前面・喉仏(のどほとけ)の下にある蝶のような形をした臓器で、体の新陳代謝を促進している重要な二種類の甲状腺ホルモン(T4とT3)を分泌しています。甲状腺の病気にはそのホルモンの分泌(ぶんぴつ)異常(いじょう)と腫瘍性(しゅようせい)疾患(しっかん)があります。ホルモンの産生が多くなることを甲状(こうじょう)腺(せん)機能(きのう)亢進症(こうしんしょう)といい、その代表がバセドウ病です。逆にホルモン分泌が少なくなることを甲状(こうじょう)腺(せん)機能(きのう)低下症(ていかしょう)といい、その代表が橋本病(はしもとびょう)です。バセドウ病では甲状腺は大きくなり(甲状腺腫(こうじょうせんしゅ))、目が内側から押し出されるように見える(眼球(がんきゅう)突出(とっしゅつ))、脈が速くなる(頻脈(ひんみゃく))が特徴ですが、新陳代謝の亢進により体重減少、発汗、手の震え、不整脈などもみられます。自律神経失調症や更年期障害と間違えられることがあります。橋本病で機能低下症になりますと甲状腺が大きくなり、全身の代謝が低下することにより無気力、疲れやすさ、全身のむくみ、寒がり、体重増加、便秘、かすれ声などが生じます。うつ病や認知症と間違われることもあります。いずれも自己(じこ)免疫(めんえき)疾患(しっかん)で女性に多いのが特徴ですが、原因は不明です。正確に診断するために甲状腺ホルモンと脳下垂体(のうかすいたい)から分泌される甲状(こうじょう)腺(せん)刺激(しげき)ホルモン(TSH)を測定する必要があります。バセドウ病と橋本病の診断には甲状(こうじょう)腺(せん)自己(じこ)抗体(こうたい)を測定します。いずれも血液検査で分かりますのでかかりつけ医にご相談してください。甲状腺の腫瘍性疾患については血液検査では分かりませんので画像検査、特に超音波検査をする必要があります。甲状腺ホルモンの主原料は海藻類に含まれるヨウ素(ヨード)です。必要なヨウ素は取らなければなりませんが、ヨウ素の多い昆布を毎日食べ過ぎたり、ヨウ素含有のうがい薬を多用すると、甲状腺ホルモンが作られなくなり甲状腺機能低下症となることがありますので注意が必要です。
甲状腺は触れないのが正常ですので触れれば大きいのでかかりつけ医にご相談して下さい。