健康一口メモ8月号『男の子にもHPVワクチン』を掲載いたしました

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 HPV(ヒトパピローマ(乳頭腫(にゅうとうしゅ))ウイルス)は、性関係を持つことで感染して広がるウイルスです。たくさんの種類があり、多くは自然に排除されますが、一部が残りさまざまな病気の原因になります。例えば、若い女性に多い子宮頸(しきゅうけい)がんは、日本では毎年約1万人が発症し、約2,900人が亡くなっています。また、肛門がんの患者数は年間約1,000人、その他にも陰茎(いんけい)がん、尖圭(せんけい)コンジローマ、中咽頭(ちゅういんとう)がんなどを発症することがあります。
 尖圭(せんけい)コンジローマとは、性器やお尻などにギザギザしたいぼができる病気で、日本での発症数は年間約78,000人です。がんではありませんが、再発しやすく感染するため注意が必要です。
 海外のデータでは、性経験のある男性の90%以上、女性の85%ほどが一生のうちにHPVに感染するといわれています。HPVのワクチンは男女ともに有効で、予防効果は97%と絶大です。過去、女性に対しての接種が勧められない時期がありましたが、2022年から定期接種が再開され、現在では副反応による大きな問題は起きていません。
 ワクチンの接種は、性交渉をもつ前の時期が効果的です。ワクチンの種類や年齢によって接種のタイミングや回数が異なり、小学6年生から高校1年生相当の期間に、一定の間隔をあけて同じワクチンを合計2~3回接種します。
 女性は定期予防接種として無料で受けられます。男性は任意接種のため自費ですが、費用を助成する自治体も増えてきていますので、この機会に接種を検討してみてはいかがでしょうか。

R8お盆期間の診療状況

健康一口メモ7月号『RSワクチンについて』を掲載いたしました

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 令和8年4月1日にRSウイルスワクチンによる母子免疫ワクチンが定期接種になりました。これから生まれてくる子供のために、妊婦さんにワクチンを接種します。妊娠28週0日から36週6日の妊婦さんが対象です。妊婦さんにできた抗体が胎盤を経由して胎児に移行します。
 生涯においてRSウイルスには複数回感染します。初めての感染では20-30%の子供が細気管支炎や肺炎を発症します。特に生後6ヶ月未満の新生児や乳児が感染すると重症化することが知られています。また、気管支喘息の発症リスクの一つとしてRSウイルス感染があげられています。
 日本では、毎年12-14万人の2才未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され,約4分の1(約3万人)が入院を必要とすると推定されています。
 RS感染症に対する特別な治療法はありません。呼吸管理、補液管理などの治療が主体となります。母子入院の場合も少なくはありません。
 母親がワクチンを接種することによって、新生児の入院や集中治療管理が必要となるRSV重症例を効果的に減らせると考えられます。
 昨年の夏はRSウイルス感染が大流行し、入院施設が大幅に不足しました。小児科医としてもこのワクチンの効果を大変期待しています。
 尚、県外での里帰り分娩を考えている場合は、早めにお住まいの自治体担当課へ相談して下さい。

健康一口メモ6月号『食中毒について』を掲載いたしました

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気温と湿度が上がる5月は食中毒が増え始める季節。食中毒の原因、実は飲食店以外に「家庭の食事」が約2割を占め、特に高齢者は重症化しやすく注意が必要です。
① 「つけない」:手洗いの徹底
ウイルスや細菌の多くは、手を介して口に入ります。調理前や食事前には指先、指の間、手首を石けんと流水でよく洗い流します。これで付着した菌の数は劇的に減少します。特に生の肉や卵を触った後は、他の食材や器具に触れる前に必ず手洗いをしてください。まな板や包丁、ふきんは清潔なものを使用しましょう。
② 「増やさない」:速やかに冷やす
細菌の増殖スピードは驚くほど速く、室温の状態で放置すると大変危険です。調理後の食品を保存する場合は浅い容器に小分けし、速やかに冷蔵庫や冷凍庫へ入れましょう。微生物に増殖の隙を与えないことが、家庭での食中毒予防には不可欠です。
③ 「やっつける」:中心部まで加熱
食中毒の原因となる微生物の多くは熱に弱く、中心温度75℃で1分以上の加熱が有効です。中まで十分に火が通っているか確認する習慣をつけましょう。なお、カビは熱でも死滅せず毒素が残る場合があります。僅かなカビでも、食品全体に菌糸が広がっている可能性があるため、カビの生えた食品は迷わず破棄してください。
万全を期していても、感染してしまうことはあります。もし、下痢や嘔吐、腹痛が現れた際は、以下のことに注意してください。
◎自己判断の下痢止めは控える:下痢は、体が悪い菌を外に出そうとする防御反応です。無理に止めると症状を悪化させることがあります。
◎水分補給を第一に:嘔吐や下痢が続くと、脱水症状を招きます。経口補水液などで水分と塩分を少しずつ、こまめに摂取してください。
水分の摂取すら困難なほど症状が重い時は、無理をせず早めに医療機関へ相談しましょう。気温が上がるこれからの季節、確実な手洗いと食品管理を心がけ、安心して食事を楽しみましょう。

健康一口メモ5月号『早期発見には胃内視鏡検診を』を掲載いたしました

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37,867人。2024年度に胃がんで亡くなった方の数です。ようやく減り始めたものの、まだまだ胃がんは日本人に多いがんです。
胃がんは早期発見できれば、根治できる病気です。がんが粘膜内にとどまっている超早期であれば、開腹手術ではなく、口からの内視鏡による治療で根治できる場合がほとんどです。
早期胃がんには症状がないため、無症状のうちに胃がんは進行していきます。症状が出てから発見される胃がんの多くは進行胃がんであり、開腹手術や抗がん剤治療など高額で体の負担の大きな治療が必要となります。さらに腹膜や肝臓などに遠隔転移すると根治できる可能性はほぼなくなります。症状のないうちに検診を受けることが必要なのはそのためです。
早期発見には上部消化管内視鏡検査が有用です。内視鏡で直接観察するため、小さな病変やわずかな変化しかない病変を発見できます。がんが疑われた場合、その場で組織を採取して病理検査に提出することもできます。
胃がんの検診にはバリウムを使用する胃X線検査という方法もありますが、胃X線では早期胃がんの半数近くが見落とされます。放射線の被曝という問題もあります。稀ですが、検査台からの転落による骨折、バリウムによる腸閉塞、バリウム誤嚥による肺炎など重篤な合併症の報告もあります。
安全で精度が最も高いのが内視鏡検査です。実際に伊奈町で行われた胃内視鏡検診で過去5年間に発見された7例の胃がんは全て早期胃がんであり、開始して以来これまで大きな合併症はありません。
胃カメラは苦しいというイメージがあると思います。市町村で行われる対策型健診としての胃内視鏡検診では鎮静剤を使用できませんが、鼻やのどを十分に局所麻酔することと、内視鏡機器の改良により高精度な検査が以前よりも楽に受けられるようになっています。
50歳以上で内視鏡検査を受けたことがない方はぜひ胃内視鏡検診を!

健康一口メモ3月号『帯状疱疹とそのワクチン』を掲載いたしました

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(症状)かゆみや皮膚の違和感、ピリピリとした軽い痛み、しびれを感じ始めます。その後、痛みを伴う発疹が体の左右どちらかに帯状に出てきます。痛みが徐々に強くなります。

(治療)発疹が出てから72時間以内に抗ウイルス薬を飲みはじめることが望ましいといわれています。帯状疱疹かもしれないと思ったら、早めに皮膚科やかかりつけ医、ペインクリニックを受診しましょう。

(帯状疱疹後神経痛)皮膚の症状が治まった後も長期間にわたって痛みが続くことがあります。痛みのため日常生活に支障を来します。加齢とともに帯状疱疹後神経痛への移行リスクは高くなり、50歳以上の患者さんの約2割が移行すると報告されています。

(帯状疱疹予防のワクチン)65歳の方などへの帯状疱疹ワクチンの予防接種が、予防接種法に基づく定期接種の対象となり、二種類のワクチンに対し補助金がでています。

(二種類のワクチンの特徴)
①発症予防効果は不活化ワクチンが高い
②帯状疱疹後神経痛抑制率は不活化ワクチンが高い
③痛みなどの副反応は不活化ワクチンが高い
④接種費用は不活化ワクチンが高い
⑤生ワクチンは1回接種、不活化ワクチンは2回接種
ワクチン接種をお勧めしますが、どちらのワクチンにするかは,ワクチン接種医療機関に相談して下さい。

健康一口メモ1月号『鉄欠乏性貧血について』を掲載いたしました

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鉄欠乏性貧血について

【鉄欠乏性貧血って?】人体の各部位に酸素を運ぶのは赤血球です。酸素は赤血球中のヘモグロビンに付いて体内を巡ります。人体には3-5gの鉄がありますがその大部分はヘモグロビンの材料となります。寿命を終えた赤血球内の鉄はリサイクルされ、新しい赤血球の材料となります。ヘモグロビンの材料である鉄が不足すると酸素を運ぶ赤血球が作られなくなり、貧血となります。

【どんな人がなるの?】鉄の摂取量が少ない、鉄の吸収が悪い、出血があり鉄の喪失がある、妊娠中や思春期など体の鉄の需要が増える、などの理由で鉄欠乏となります。月経のある女性の1/3程は鉄欠乏の状態です。特に子宮筋腫など婦人科の疾患のある人で多くみられます。胃潰瘍、胃がん、大腸がんなどの消化管からの出血でも鉄欠乏となります。また、マラソン、ラグビーなど激しい運動を日常的に行なっている人も鉄欠乏となることがあります。

【鉄欠乏による症状】疲労感、だるさ、集中力・やる気がない、労作時の動悸・息切れ、爪がそり返る(さじ状爪)、味覚障害などです。ただし、貧血が長期間持続している場合は無症状のこともありますので、症状がなくても検診などで貧血を指摘されたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。

【治療】内服あるいは注射の鉄剤で体に鉄を補充します。内服の鉄剤では吐き気、下痢、便秘などの症状が出ることがあります。内服の鉄剤の副作用が問題となる場合は注射剤を使います。鉄剤を服用すると1ヶ月ほどで貧血は改善しますが、そこで治療をやめてしまうとまたすぐに貧血となってしまいます。血液検査でフェリチンという貯蔵鉄の数値を指標にして治療のゴールを決めますが、通常は半年以上の内服継続が必要です。鉄剤の内服で便は黒くなりますが特に心配ありません。鉄を多く含む食品(レバー・小松菜・干し大根等)をビタミンCを多く含む食品(柑橘類等)と一緒に摂取すると鉄の吸収率も高まります。

健康一口メモ12月号 『ヒートショック』を掲載いたしました

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お風呂からなかなか出て来ないなと思って、見に行ったら家族が倒れていた。湯船で溺れていた。なんていう話を聞いたことはありませんか。
 あまりに急激な温度変化がおこると、血圧が急に上下して、身体がダメージを受けることがあります。これがヒートショックです。
 暖かい所から寒い所への移動でも、その逆でもヒートショックは起こります。だから冬の入浴には、注意が必要なのです。
 厚着をして、暖かい部屋にいた人が、寒い脱衣所に行き、服を脱ぐと、体が急に冷えます。すると自律神経が働いて、血管が縮こまって、血圧が上がります。しかし、浴槽につかると、今度は熱いお湯で急に体が暖まり、逆に血管がゆるんで広がり、血圧が下がります。65歳以上の高齢者や、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの持病がある人は血圧を正常に保つ機能が低下していることがあり、ヒートショックのリスクが高いと言われています。軽症では、めまいや立ちくらみがみられ、重症では、失神して意識を失ったり、脳卒中や心臓発作を起こすこともあります。
 予防策は以下の通りです。

① 温度差を少なくする:
脱衣所を暖める。床にマットを敷く。浴室を暖めておくために、お湯をはる時にシャワーを使ったり、浴槽のふたを開けておいたりする。シャワーやかけ湯で体を暖めてから入浴する。お湯は38-40度位であまり熱くしない。

② タイミングに注意:
比較的寒くない昼に入浴する。浴室が冷えている一番風呂を避ける。食後1時間や飲酒後は血圧が下がりやすいので避ける。睡眠薬など眠くなる薬を飲んだ後は避ける。長湯をせず、10分くらいに。入浴前に飲水を。

③ 万が一に備える:
意識を失っても溺れないように、お湯の量を少なめにする。胸までつかる位に。(発見時はまず、栓を抜き、お湯を捨てる。)入浴前は家族に声をかける。

 国の推計では、入浴中の事故で亡くなる人は年間19,000人にもなるとされます。十分な準備をして、入浴してください。

R7~R8 年末年始の診療状況一覧

健康一口メモ11月号 『間質性肺炎 』を掲載いたしました

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間質性肺炎という病気を聞いたことはありますか?美空ひばりさんや八代亜紀さんの訃報で耳にされた方もいるかと思います。一般的にはあまり耳なじみのないこの病気について解説していきたいと思います。

間質性肺炎って何?

人間の肺は酸素と二酸化炭素をやり取りする肺胞という組織がたくさん集まってできています。本来の肺はスポンジのようにとても柔らかい組織です。間質性肺炎は肺胞の壁が厚くなり、ヘチマのたわしのようにカチカチになってしまう病気です。間質性肺炎の中で8~9割を占めるのが特発性肺線維症(IPF)と呼ばれるタイプです。IPFの罹患者数は2000年代の調査で10万人に10人程度とされていましたが、2020年代には27人まで増加傾向にあります。本来肺には傷がつくと修復される機能があります。IPFでは傷がついて修復されることが繰り返される過程で異常が生じて発症すると考えられています。軽症のうちは自覚症状に乏しく、進行すると乾いた咳、動いたときの息苦しさを自覚するようになります。通常は病状が進行していきます。

間質性肺炎の診断は?治療は?

病状や経過の細かい聞き取り、診察に加えてレントゲンやCTで異常が認められると診断がつきます。一部の方にはより細かい情報を得るために、気管支鏡(肺の内視鏡)や手術を行って肺の組織を採取することがあります。長い間間質性肺炎には有効な手立てがなく、診断してもよい治療方法がない時代が長く続いていました。最近になり抗線維化薬という肺の悪化を抑える薬を使えるようになりました。抗線維化薬はなるべく早期に使うことで最大限の効果を発揮するため、早期診断・早期治療が重要です。

どんな時に相談すればよい?

乾いた咳が長く続く、動いたときに息苦しさを感じる、健康診断でレントゲンや胸の音の異常を指摘された時には、「もしかして間質性肺炎ですか?」とかかりつけの先生に相談してみてください。