健康一口メモ4月号『ストレスと胃腸の症状』を掲載いたしました

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 ストレスや疲れ、プレッシャーを感じたときにお腹をこわしたり、胃が痛くなったりすることはありますか。また、お腹の症状があるので上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)や大腸内視鏡検査を受けたのに結果は正常と説明された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 検査が正常でも胃腸の症状が続く患者さんは、胃の症状の場合は「機能性ディスペプシア」、腸の症状の場合は「過敏性腸症候群」と診断されます。なぜ検査で異常がないのに症状が出るのでしょうか?

 胃や腸は食べ物を消化するだけの単純な袋ではありません。胃腸には非常に多くの神経細胞が含まれています。胃腸はこの神経細胞と平滑筋(へいかつきん)という胃腸の壁の中の細かい筋肉の線維(せんい)が微妙なバランスをとりながら動いています。体や心の不調によって胃腸につらい症状が出るのはこのバランスがくずれるからだと言われています。

 さらに胃の症状の場合は胃酸(いさん)過多(かた)も関わってきます。ストレスを感じると、それが体の痛みや寝不足などの身体的なものであっても、精神的・感情的なものであっても、胃液の中に胃酸が多くなります。胃酸が多くなると、胃の運動が正常でなくなったり、消化が悪くなったりして、様々な胃の症状を起こします。

 不安もストレスの原因となります。お腹の症状が続くうちに「自分はがんではないか」「一生このまま治らないのではないか」などの不安を感じると胃や腸の症状がさらに悪化するという悪循環に陥ります。このような場合は検査や診察を受けて不安を和らげると症状が軽くなることもあります。

 胃腸の症状を感じたときはまず、「腹八分、薄味、あっさり、よくかんで」です。またカフェイン(緑茶・紅茶・烏龍茶・コーヒーなど)や脂っこい食べ物、アルコール、タバコも控えめにしましょう。それでも症状が治まらないときや、体重が減る、血便や黒い便が出るときには医療機関を受診しましょう。

健康一口メモ3月号『スマホによる目の影響・スマホ老眼』を掲載いたしました

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老眼とは?
私たちが物を見る時は、目の中にある毛(もう)様体筋(ようたいきん)という筋肉が働き、水晶体(すいしょうたい)というレンズを厚くしたり薄くしてピント合わせをしています。
一般的な老眼は、毛様体筋の衰え、水晶体が硬くなることで近くを見る時にピント合わせがしづらくなる40代前後から生じる老化現象です。

スマホ老眼とは?
最近は、若年の方にも老眼に似た症状がみられるようになりました。
至近距離でスマートフォンの小さい画面を見続けることにより、目を酷使(こくし)し毛様体筋が凝り固まり、ピント合わせがうまくできなくなった状態です。

スマホ利用時間の増加
総務省の報告では、スマホを含むモバイル機器によるインターネットの利用時間は、10代の場合、2012年には平均76分、2018年には約145分とほぼ2倍になっています。
使用時間の増加率が著しいのが50代で、2012年は約18分、2018年には約53分と3倍近くなっています。そのほかの年代も利用時間は上昇しています。
また2020年以降もコロナ禍による巣ごもりで利用時間はさらに伸びています。

症状は?
近くを見る時にかすむ、目の疲れ、ドライアイ、頭痛や肩こり、集中力の低下など

改善策、治療
①スマホの使用時間を減らす。
②スマホ(パソコンも)の使用中に定期的に休憩する。1時間続けたら10~15分位の休憩をし、遠くを眺める。
③疲れを感じたら目を温め、血行をよくしリラックスする。
④眼精疲労改善の点眼薬を使用する。また、画面をじっと見ていると瞬きの回数が減り、ドライアイにもなるため、ドライアイ改善の点眼薬を使用する。

健康一口メモ1月号『帯状疱疹(たいじょいうほうしん)ワクチン』を掲載いたしました

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帯状疱疹とは?
帯状疱疹は、体のどちらか片方に広がる神経に沿ってできる皮膚の病気です。赤い斑点(はんてん)と小さな水ぶくれが帯状(おびじょう)に多数できます。顔にもできることがありますが、この場合にも左右どちらか片方にできます。ピリピリと刺すような痛みを伴うことが特徴です。ときには、夜も眠れないほどひどい痛みがでる場合があります。普通は、皮膚の症状が治ったら痛みも消えますが、ときには、皮膚の症状が治ってもひどい痛みが続くことがあります。

なぜ帯状疱疹になるのですか?
子どものころに感染する“水ぼうそう”と同じウイルスが引き起こす病気です。実は、水ぼうそうが治ったあとも、90%以上の人でウイルスが体内の神経節に潜(ひそ)んでいると言われています。疲労やストレスなどがきっかけとなって体の抵抗力が弱まると、ウイルスが再び活動をはじめて帯状疱疹をおこします。また、糖尿病やがんなどの病気で抵抗力が落ちたことがきっかけとなることもあります。50歳をすぎるころからこの病気にかかる人が徐々に出てきて、80歳までには約3人に1人がこの病気になるといわれています。
(最近では、水ぼうそうの予防接種を受けるお子さんが増えてきました。)

人にうつるの?
他の人に帯状疱疹をうつすことはありません。しかし、水ぼうそうにかかったことのない乳幼児などは、帯状疱疹の患者さんからうつって、水ぼうそうになることがあります。

予防と治療は?
体の抵抗力が下がることが帯状疱疹になる原因の一つです。無理をせず、栄養と睡眠をきちんととり、日頃から体調管理を行うことが大切です。もし帯状疱疹ができてしまったら、できるだけ早く治療を行うことによって、症状を軽くできるので、早めに受診してください。
50歳以上の方は、ワクチン接種で予防することができます。ワクチン接種については、医師にご相談ください。

健康一口メモ12月号『前立腺肥大症 』を掲載いたしました

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 前立腺は男性だけが持つ臓器で、女性には存在しません。男性は、中年になると排尿にまつわる症状を自覚する方が多いですが、その多くは、前立腺(ぜんりつせん)肥(ひ)大症(だいしょう)という加齢に伴う病気が原因です。
 Prostate(前立腺)の語源はギリシャ語のprohistani(前に立つ)であり、「膀胱(ぼうこう)の前にある臓器」という意味です。実際のところ、前立腺は膀胱(ぼうこう)の下にあり、尿道を取り巻くように膀胱(ぼうこう)の出口に存在する男性特有の臓器で、成人男性で直径約3cm、クルミくらいの大きさです。
 50歳頃から前立腺が肥大してきて、80歳頃には約80%の方が前立腺肥大症に関連する症状を自覚するようになると言われています。具体的には、前立腺が肥大することで尿道が圧迫され、尿の勢いがない、排尿に時間がかかる、排尿の回数が多い、排尿後も残った感じがする(残尿感)などの症状が出てきます。
 多くの場合は薬物療法が有効ですが、重症の場合には尿道から内視鏡を挿入して行う経尿道的前立腺手術を行うこともあります。
 排尿にまつわる症状が気になる方は、かかりつけ医か泌尿器科専門医に相談して下さい。
 特に、尿を出したいのに排尿できず、下腹部が膨れて痛む場合は尿閉(にょうへい)という状態で、尿道からカテーテルを入れて、膀胱に貯まった尿を排出する必要があります。また、血尿がある場合には、前立腺肥大症以外に、膀胱がん、前立腺がん、急性前立腺炎や膀胱結石などの疾患の可能性もあります。
 このような症状がある場合には、男性だけではなく女性であっても早めに泌尿器科専門医を受診し、超音波や内視鏡などの検査を行い、適切な治療を受ける必要があります。

健康一口メモ11月号『良性発作性頭位めまい症』を掲載いたしました

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 良性発作性頭位めまい症では、じっとしている時には起こりませんが、頭を動かした時にグルグル回るようなめまいが起こります。まためまい以外に耳の症状が伴わない事も特徴です。じっとしていれば1分程度でおさまりますが、そこから動くことによってまためまいが起こるため、めまいを繰り返すことも特徴となります。
 良性発作性頭位めまい症の原因は耳の三半規管にある「耳石」です。耳石は体の動きを認識する感覚細胞の上に固定されており、体が動いたり向きが変わったりする事で耳石が動かされ、その耳石が感覚細胞を刺激する事で体の動きを認識します。良性発作性頭位めまい症ではこの本来の位置から外れてしまった耳石によって、誤った体の動きの情報が送られてしまい、めまい症状を引き起こします。誤った情報が繰り返し脳に送られることで、脳が誤った情報だと早く認識することができますので、頭を動かさないようにするよりはなるべく頭を動かしていた方が結果として早く症状が改善します。
 良性発作性頭位めまい症の治療には症状に合わせての抗めまい薬や耳の循環改善薬、ビタミン剤などが処方されます。まためまいが起こるのではないかという不安感・恐怖心が強い方には抗不安薬や睡眠導入薬を使用することもあります。
症状が落ち着いた段階で治療は不要となりますが、その後再発を繰り返す可能性のある病気でもあり、繰り返さないようにするためには日頃から積極的に頭を動かした方が良いでしょう。
 良性発作性頭位めまい症の多くは数日で自然に軽快するので、症状がさほど強くなければそのまま様子を見ていても問題ありませんが、症状が強ければ耳鼻科への受診をおすすめします。また、めまいの中には脳が原因で起こっているめまいもあり、こちらは命に関わる可能性もありますので、手足の痺れや脱力・呂律が回らないといった症状があるような場合は急いで受診するようにしてください。

健康一口メモ9月号『更年期障害』を掲載いたしました

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 卵巣は、女性の下腹部、膀胱の裏側にある子宮のさらに裏側に左右1個ずつある親指大の組織です。卵巣は、赤ちゃんのもとになる卵子を育てたり、女性ホルモンを分泌する器官です。
 卵巣は、早ければ10歳、遅くとも18歳までには初潮を迎えその後活発に働き女性の体調管理をしてくれます。思春期、成人、出産、育児を経てやっと一段落したころ、だいたい45歳前後からでしょうか?気がつくと、顔がほてったり、寝汗をかいたり、イライラしたり、動悸、めまい、肩こり、やる気がなくなったり、眠れなかったり、といった様々な症状が出てくることがあります。これら様々な不定愁訴の原因が、卵巣の機能の低下に関係する場合があります。これを更年期障害と呼びます。昨今40代50代の働き手の女性の10人に1人がこのような症状に悩まされ相談口もなく退職する道を選んでしまいます。更年期離職と呼ばれ、年間4200億円の経済損失となっています。
 さて、このような更年期障害は、ホルモンのバランスの低下により起きるので採血等の検査では確定ができません。あくまでもみなさんの臨床症状から推測する病なのです。
 治療法は、漢方薬や精神安定剤のような対症療法からホルモン療法とさまざまですが、一人で悩まれることなく産婦人科を受診され適切な治療を受けることをおすすめします。是非子宮がん検診とセットでお受けになってみてください。また、ホルモン療法といわれると副作用の点から敬遠される方が多いのですが、定期的な採血や乳がん検診を受けることで安心して使用が可能です。また、剤形も飲み薬以外にも近年は、塗り薬、貼り薬等いろいろありますのでみなさんの状態に応じた治療が可能です。
 更年期障害を含め月経によるトラブルは女性がだれでも長年にわたり経験するストレスの一つです。快適なライフスタイルをストレスなく過ごせるよう遠慮なく産婦人科医に相談していただくことをおすすめいたします。

健康一口メモ8月号『脊柱側わん症』を掲載いたしました

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健康一口メモ7月号『大腸がんの症状』を掲載いたしました

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健康一口メモ6月号『「おねしょ」と「夜尿症」』を掲載いたしました

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健康一口メモ4月号「マスク皮膚炎」を掲載いたしました

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