健康一口メモ12月号『前立腺肥大症 』を掲載いたしました

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 前立腺は男性だけが持つ臓器で、女性には存在しません。男性は、中年になると排尿にまつわる症状を自覚する方が多いですが、その多くは、前立腺(ぜんりつせん)肥(ひ)大症(だいしょう)という加齢に伴う病気が原因です。
 Prostate(前立腺)の語源はギリシャ語のprohistani(前に立つ)であり、「膀胱(ぼうこう)の前にある臓器」という意味です。実際のところ、前立腺は膀胱(ぼうこう)の下にあり、尿道を取り巻くように膀胱(ぼうこう)の出口に存在する男性特有の臓器で、成人男性で直径約3cm、クルミくらいの大きさです。
 50歳頃から前立腺が肥大してきて、80歳頃には約80%の方が前立腺肥大症に関連する症状を自覚するようになると言われています。具体的には、前立腺が肥大することで尿道が圧迫され、尿の勢いがない、排尿に時間がかかる、排尿の回数が多い、排尿後も残った感じがする(残尿感)などの症状が出てきます。
 多くの場合は薬物療法が有効ですが、重症の場合には尿道から内視鏡を挿入して行う経尿道的前立腺手術を行うこともあります。
 排尿にまつわる症状が気になる方は、かかりつけ医か泌尿器科専門医に相談して下さい。
 特に、尿を出したいのに排尿できず、下腹部が膨れて痛む場合は尿閉(にょうへい)という状態で、尿道からカテーテルを入れて、膀胱に貯まった尿を排出する必要があります。また、血尿がある場合には、前立腺肥大症以外に、膀胱がん、前立腺がん、急性前立腺炎や膀胱結石などの疾患の可能性もあります。
 このような症状がある場合には、男性だけではなく女性であっても早めに泌尿器科専門医を受診し、超音波や内視鏡などの検査を行い、適切な治療を受ける必要があります。