健康一口メモ9月号 『外反母趾』を掲載いたしました

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 外反母趾とは足の親指が外側(小指側)に大きく曲がった状態のことを指します。
見た目の変形だけでなく、親指の付け根が出っ張り、靴に当たって痛みを生じます。また、足の裏にもタコができて痛みが出ることもあります。
 外反母趾の原因は生まれつきのこともありますが、靴や加齢による変形が原因となることもあります。先の細い靴や、ハイヒールはその一因になります。一般に男性より女性が多いことも知られています。
 診断は視診とレントゲンで足の骨の開き具合を測定することによって行います。
 治療には保存的治療(運動療法、装具療法)と手術的治療があります。
 まずは保存的治療が優先されます。運動療法では足の親指を内側に開くストレッチを行います。手を使っても良いですし、ゴムで輪を作って両方の親指で引っ張りあっても良いです。また、自力で足の指を大きく開く練習をすることも大切です。足でグー、チョキ、パーをしても良いと思います。装具療法では足の形(縦アーチ、横アーチ)を整える足底板を作成します。外反母趾と言っても、親指が外側に曲がるのではなく、足の形がつぶれて広がった結果親指が外側に曲がったように見えることもあります。このような場合には親指を開くだけでなく、靴で足の中程を締めて足の形を整えることも大切です。
 保存的治療で症状が良くならない場合には手術的治療を検討します。手術的治療の良いところは、保存的治療よりも変形をしっかり矯正することができることです。手術は足の骨を切って形を整えますが、どの骨をどこで切るかは変形の程度によります。
 外反母趾に悩まれている方は非常に多くいらっしゃいます。ただ症状がそれほど強くない場合、自己判断でサポーターを購入されて対応されている方も少なくないようです。間違った装具、サポーターはかえって症状を悪化させてしまうこともあるため、気になった場合には一度整形外科医に相談することをお勧めします。

健康一口メモ8月号 『スマホ・タブレット・テレビなどの子供達への影響』を掲載いたしました

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 液晶から発するブルーライトについては過去に特集がありました。今回はデジタル機器を利用することでの子供達の心への影響についてお話しします。
 一昔前のクリニック待合室では子供達が大声を出しながら走り回ったり、お母さんの膝に抱っこされて絵本を読んでもらったりしている光景が見られました。現在の待合室は、大多数の子供達がとても静かに順番を待っています。子供はスマホやタブレットなどに夢中になっているようです。診察の場面でスマホを取り上げられると、素直にあきらめる子供が多いのですが、切れたり大泣きする子供もいます。
 一方的なメディア漬けの影響として、お母さんの話しかけが激減する、テレビの日本語とお母さんの日本語は違うので発語の時期が遅くなる、発音発声が不明瞭、人の目を見て話さない、落ち着きがない、姿勢態度がふらつく、駄々をこねたりかんしゃくをおこしやすい、自分の考えがなくなり受け身の姿勢を助長、などがあげられます。しかし、大多数の研究では、大きな影響はないとしています。
 動画プログラムの中には、子供の発達を促進するものもありますが、乳幼児は健全な脳発達と適正な社会性、情緒、認知発達のために親と触れ合うことが必要です。青少年は十分な睡眠時間、身体活動、そしてメディアを使用しない時間が必要であることも明らかになっています。単に利用を制限するのではなく、親子間でメディアの内容や使用時間をきちんと決め、睡眠、身体運動、親子間の交流時間を取るようにしましょう。
 子供の機嫌やタイミングもあるとは思いますが、スマホを取り上げられて大泣きする場面を見ると親子間でのルールの確認はとても重要であると考えます。

R7お盆期間中の診療状況

健康一口メモ7月号『胃カメラとバリウム どっちがいいの?』を掲載いたしました

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健康診断や検査で胃カメラやバリウム検査をすすめられたことがある方も多いのではないでしょうか。どちらも食道・胃・十二指腸の病気を見つけるための検査ですが、どちらがおすすめか、結論から先にお伝えしますと胃カメラです。

胃カメラのほうがなぜ良いのか?
一番の理由はシンプルに早期がんの検出率がバリウム検査と比べて高いことにあります。
バリウムは影を見ているため質的診断が難しく、その点胃カメラは高画質のカメラで直接表面の構造を見ることが出来るため、微細な異常に気づくことが出来ます。加えて、胃カメラには光の色調を変える機能があり、短い波長の青い光にすることで粘膜表層(ねんまくひょうそう)の毛細血管(もうさいけっかん)が強調され腫瘍(しゅよう)かどうかの評価をすることも出来ます。怪しいと判断した場合にはその場で組織を取り、確定診断までつけることが出来ます。
また、偶発症(ぐうはつしょう)のトラブルが少ない点も胃カメラの良い点です。
バリウム検査では放射線被曝(ほうしゃせんひばく)があること、バリウムが腸管に残ることで腸閉塞(ちょうへいそく)や虫垂炎(ちゅうすいえん)を引き起こすことがあります。他にもバリウムが肺に入ってしまう誤嚥(ごえん)や、検査時の体位変換(たいいへんかん)による転倒などもあります。
胃カメラの場合には接触による出血などもありますが、大出血に至ることはまずありません。オエっとすることもありますが、鼻から胃カメラをいれることで嘔吐反射(おうとはんしゃ)を軽減できたり、また、鎮静剤を併用することで眠っている間に受けることもできます。

どちらがオススメ?
結論として、詳しく調べるためには胃カメラのほうが優れています。
胃の健康を守るためには、定期的な検査が大切です。どちらの検査も大事ですが、より詳しく調べたい方は、ぜひ胃カメラを検討してみてください。

健康一口メモ6月号『目薬の使い方』を掲載いたしました

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皆さんの目を守り、お薬の効果を充分に発揮するため、目薬を上手に使いましょう。

【目薬1本は何日でなくなるか?】
目薬の一本当たりの量をご存じですか?医療機関で処方する目薬の多くは1本当たり5mlです。(市販の目薬には大容量のものもありますが今回の説明では除外します)
目薬1滴の量は約0.05mlのため1本の容量は100滴分に相当します。
例えば1日2回両眼に目薬を点眼すると25日分、1日4回両眼に点眼すると12.5日分になります。
目の表面に保持できる点眼量は約0.03ml程度なので1回の点眼には1滴で十分です。実際には何滴もさしてしまう方もいるでしょう。
しかし多く点眼しても目に入らずあふれてしまうだけです。
また数種類の点眼をする場合は、少なくとも5分程度の間隔をあけて下さい。点眼間隔が短いと先に点眼した液が、後に点眼した液に洗い流されてしまいます。さらに1日の点眼回数にも注意して下さい。回数が少ないと薬の働きが弱まり、多すぎると治療効果は変わらないのに副作用がおきることがあります。

【目薬の使用期限は?】
目薬の容器に記載されている使用期限は、未開封の状態で適切な保管を行った場合の期限です。開封後の使用期限は、使用方法・保管方法を守り約1か月を目安にして下さい。
ただし開封後1か月以内でも目薬に変色、濁りなど異常があった場合は使用を中止してすみやかに医師や薬剤師に相談して下さい。
保管方法は薬の種類により常温・冷所・遮光など異なるため確認して下さい。

【目薬のさし方】
① まず手を洗って清潔にしましょう。
② 顔を真上に向け、目薬を持っていない手で下まぶたを軽く引き下げます。
③ 目薬の容器の先端がまつげやまぶたに触れないように気をつけて目にさします。
④目薬をさした後は、まばたきをせず、1分程度軽く目頭を押さえ目を閉じて下さい。そのあと目のまわりについた余分な液をティッシュ等でふきとって下さい。

健康一口メモ4月号『子どものロコモティブシンドローム(運動器症候群)』を掲載いたしました

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子どものロコモティブシンドローム(運動器症候群)

近年、片足立ちができない。しゃがみ込みができない。両手が上がりにくい。そんな子どもたちが少なくないことが明らかになってきている。
最近、我が国の児童生徒が抱える運動器の問題点として、過度な運動や偏ったスポーツ習慣による運動器の傷害と、運動不足や食生活の乱れから生じる運動器機能不全(不調)という二極化傾向が見られる。
運動器機能不全(不調)とは、成長期の子どもで、体幹や四肢の運動器機能が低下している状態のことをいい、姿勢や歩容状態が悪く、四肢の関節可動域の低下・バランスの低下・筋力の低下等が見られ、日常生活・学校生活でスポーツ外傷・障害をひき起こしやすい状態をいう。
このような子どもの成長期における運動器疾患・障害・外傷及び運動器機能不全(不調)などが原因で日常生活に支障をきたしている状態、または支障をきたすリスクが高い状態を子どものロコモティブシンドローム(「子どものロコモ」と称する)といい、現在この子どものロコモの増加が問題となっていて運動器検診が小中学校で開始されている。
学校での運動器検診の時、脊柱側弯症を中心に、家庭での運動器の調査票も参考にして、子どものロコモティブシンドロームのチェックをしている。チェック方法は、子どもの背中を見て、まっすぐか確認する。次に、両手指を屈伸して、両手が屈伸出来るかみる。次に、両手を伸ばし前かがみになり、背中の異常がないか、側弯症のチェックをする。体を前屈して床に両手がつくか体のかたさを確認する。次に、しゃがみ込みをして膝の屈曲をみる。その時に、後ろにひっくり返らないかみる。以上子どもの運動器検診をチェックし、正常異常の有無を確認する。
異常が認められた場合は整形外科を中心に診察し、その予防や治療も行われている。特に側弯症は早い時期に発見し、治療が重要である。運動器検診は、管内では平成24年4月より開始された。

健康一口メモ3月号『プール熱について』を掲載いたしました

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プール熱について

 プール熱は咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)の俗称です。急な発熱、のどの痛み、目の充血、目やになどの症状があります。プールでの接触やタオル使い回しなどで感染します。感染力が非常に強いのでインフルエンザなどと同様に出席停止となる感染症です。
 現在ではプールの塩素濃度の管理 、タオルの使い回し禁止、平成生まれの人は知らないでしょうが、水泳前に目を洗うためのU字型の上向き蛇口の撤去などでプールでの感染は少なくなったようです。六月から八月に流行していましたが、現在は一年中流行しているとの調査結果が出ています。
 プール熱はアデノウイルスが引き起こす風邪の一つです。アデノウイルスには五十種類以上のタイプがあります。そのため一度かかっても複数回の感染を繰り返します。感染好発部位は、のど、目、腸、肺といわれており、部位によって「のどが痛い」「目やに」「下痢」「咳」など多彩な症状を引き起こします。プール熱以外では、目の症状単独であれば流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)、消化器症状であれば胃腸炎などと診断されます。
 アデノウイルス感染症は大人にもみられます。大人の場合は法律上の勤務停止はありませんが、職場に感染を持ち込む可能性が大きいので自主的な休業が必要となります。一般的には子供の感染症に大人がかかるとより重症になります。
 日本ではあまり分離されていませんが、アメリカではアデノウイルス7型14型が重症呼吸器感染症を引き起こすとの報告があります。大人の感染例もあり、コロナ、インフルエンザと並んで慎重な対応が必要とされています。
 自分は健康と思っている方も、日頃からの健康管理や感染からの防衛行動を心がけて下さい。 

健康一口メモ2月号『妊婦歯科健診』を掲載いたしました

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妊婦歯科健診
 【妊婦歯科健診の実態、重要性】‬
‭ 各市町村の努力で行われている妊婦歯科健診ですが、現状受診率がかなり低くなっています。‬妊娠中は、女性ホルモンの急激な増加による口腔環境の変化や、「つわり」による食べ物の好みの変化、‬歯磨きの困難などによって、むし歯や歯周病になりやすくなっています。‬‬‬‬
 しかし、妊婦さんは身体のほうが大変で、口腔内の健康まで目を向けることは難しく、初期症‬状に気づきにくいことも多いです。‬妊娠中の歯周病は、早産や低体重出産のリスクを高めることがわかっているため、妊‬婦健診を受け早期発見することが必要です。‬受診する時期については、「つわり」がおさまる妊娠4〜5ヶ月頃の比較的体調の安定した妊娠‬中期に必要な歯科治療を行うことをおすすめします。‬
 【歯科医院でお伝えできる大切な事】‬
‭ 歯科医院ではママの口腔ケアだけではなく、生まれてくる赤ちゃんのためになる情報も多くお伝えすることができます。‬例えば、どうやったらむし歯のない子に育てられるのか?‬他には、最近問題となっている口腔機能発達不全症という病態についてです。‬
 食べ物を上手にかんだり飲み込む事ができない。お話しする時にうまく発音できない、お口が常に開いているなどの症状があります。‬‬‬
‭ ママの口腔ケアをしながら、生まれてくる赤ちゃんのための正しい知識を身に付ける‬ためにも妊婦健診の受診をおすすめします。お口のことでお悩み事、不明点がありましたら‬なんでもご相談ください。‬‬‬
(北足立歯科医師会)

健康一口メモ1月号『低温熱傷(低温やけど)とは?』を掲載いたしました

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低温熱傷(低温やけど)とは?

Ⅰ.“やけど”は どんなケガ?
 やけどは医学用語(いがくようご)で熱傷(ねっしょう)といい、ヒフや粘膜(ねんまく)が主に熱(ねつ)で傷害(しょうがい)されたケガです。やけどの重症度(じゅうしょうど)は温度と接触(せっしょく)時間(じかん)によって決まります。高い温度、長時間(ちょうじかん)の接触ほど、深く重症(じゅうしょう)になります。熱が高温なら短時間の接触でやけどになりますが、短時間の接触では問題にならない44℃~50℃程度でも長時間 接触しているとやけどになり、これを低温熱傷(ていおんねっしょう)といいます。

Ⅱ.“低温熱傷(ていおんねっしょう)”の原因は?
低温熱傷の原因は、湯たんぽや電気あんか、電気毛布、使い捨てカイロなどによるものが多い印象です。下腿(かたい)(膝から下)や足に多くみられ、寝ている時や体が動かせない時にケガをすることが多いです。

Ⅲ.“低温熱傷(ていおんねっしょう)”の症状(しょうじょう)は?
 やけどは浅い方から深い方へ、Ⅰ度(赤くなりヒリヒリする)、Ⅱ度(水ぶくれやただれ・出血(しゅっけつ)があり、痛い)、Ⅲ度(白っぽく、硬(かた)く、痛みがない)と重症度(じゅうしょうど)が分けられます。気がつかずに長時間熱に接してしまうため、低温熱傷は深いやけど、Ⅲ度となりやすいです。痛みを感じる神経(しんけい)が熱で傷害(しょうがい)されると、深いのに痛みがなくなります。痛くないからと、軽く考えないようにしましょう。

Ⅲ.“低温熱傷”になったら?
なるべく早く医療(いりょう)機関(きかん)で診察(しんさつ)を受けることをおすすめします。重症ではなくても、正しく管理できないとキズが化膿(かのう)することがあります。診察までは、石けんやボディソープの泡(あわ)できれいに洗い、水道の流水で十分にすすぎ、清潔(せいけつ)なガーゼなどで保護(ほご)しましょう。小さな低温熱傷でも、何ヶ月も治らないことや、手術になることも珍(めずら)しくありません。こじらせる前に皮膚科や形成外科の専門医を受診(じゅしん)しましょう。

Ⅳ.“低温熱傷”を防(ふせ)ぐには?
同じ体の部位を、暖房(だんぼう)器具(きぐ)に長時間触れないようにしましょう。寝る前に湯たんぽは布団から出す、電気製品は電源(でんげん)を切るなどしましょう。

健康一口メモ12月号「健康診断と健診結果の見方(肝臓)」を掲載いたしました

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「健康診断と健診結果の見方(肝臓)」

 健診の中の血液検査の項目に、GOT(AST)、GPT(ALT)、γGTPというものがあるのをご存知ですか。肝臓の調子を表す代表的なもので、昔はGOT、GPTでしたが、今はAST、ALTを用いることが多いです。
AST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ):心臓、肝臓、骨格筋、腎臓に大量に存在するミトコンドリア酵素で、これらが壊れると血液の中に出てくる。
ALT(アラニントランスアミナーゼ):細胞の中にある酵素で大部分が肝臓の中にあり、壊れると血液の中に出てくる。
γGTP:γグルタミルトランスペプチターゼ:肝臓で作られる消化液である胆汁の流れが悪い時にあがることが多い。
 健診ではAST、ALTの正常値は30までに統一されています。30を超えると何か病気があるかもしれないから、病院に行きましょう、ということです。お酒の飲みすぎ、太り過ぎによる脂肪肝、薬によるもの、心臓の病気、ウィルスによるもの、その他いろいろな原因で上昇します。肝臓の病気に関する血液検査はこれらだけではないので、追加の血液検査をしたり、腹部エコー(超音波検査)などの画像診断をしたりすると良いと思います。
 AST、ALTの値がすごく高い場合は、確かに大変な病気のことが多いです。しかし、少ししか高くないから大丈夫というわけではありません。重症の病気が隠れていることがあります。特に少しだけ高いのが、何年も続いている人は要注意です。アルコールや肥満、糖尿病などの病気に伴う脂肪肝はいろいろな治療で治ります。しかし、長い間ほっておくと肝硬変になり、そうなると元には戻りません。
 AST,ALTが高い場合、もう一つ忘れていけないのは肝炎のことです。C型肝炎は現在ほぼ100%治りますし、B型肝炎は早く治療すれば悪くならないで済みます。全国調査の試算から考えると、皆さんのお住まいの地域では約1000人が、ウィルスを持っているのに検査を受けず気づいていないことになります。まだ検査を受けたことがない方はぜひ受けて下さい。